【第48回】せん妄②:薬物療法
こんにちは、Dr. KKです。
今回は前回に続き、せん妄の薬物療法について考えていこうと思います。
せん妄の症状や原因については前回の記事をご参照下さい。
(1)せん妄予防のための睡眠薬
まずは、せん妄予防の観点から見た睡眠薬の選択について考えていきます。
前回の記事でも書きましたが、BZ系睡眠薬はせん妄の原因となるため、精神科医以外は全例出さないようにするのが良いと思います。
BZ系といった副作用も少なく、かつせん妄予防作用を期待して使用するのであれば、メラトニン受容体作動薬であるラメルテオン(ロゼレム)や、オレキシン受容体拮抗薬であるスボレキサント(ベルソムラ)、レンボレキサント(デエビゴ)が安心して使用できるかと思います。
① ラメルテオン(ロゼレム)
メラトニン受容体作動薬なので、概日リズムを整えるという作用で入院環境での昼夜逆転を予防する効果が期待できます。
ただ、不眠症を一気に改善させるような薬剤ではないので、副作用は非常に少ないですが、その分効果も少ないため、頓用には向いていません。
入院初日から投与開始、などの使い方が良いかと思います。
② スボレキサント(ベルソムラ)
オレキシン受容体拮抗薬は覚醒維持を抑制するもので、自然な入眠作用を期待できます。
またBZ系と違って、依存性が非常に低い薬剤なので、安心して使用できます。
デエビゴは重度肝障害患者への投与禁忌となっていますが、ベルソムラは慎重投与であるため一応使用可能となっています。
デメリットとして、ベルソムラは粉砕不可であるため微調整が難しく、また胃管投与にも向いていません。
また、レム睡眠が増加することにより悪夢を見る人がいます。
使用前に念のため悪夢についてお伝えしておくのがベターでしょう。
③ レンボレキサント(デエビゴ)
デエビゴはベルソムラよりもオレキシン2受容体拮抗作用が強く、ベルソムラよりも催眠作用が強いとされています。
また、粉砕が可能なので投与量の微調整がしやすく、胃管投与も可能です。
デメリットとして、作用時間が長いため、日中に持ち越すリスクがあることと、重症肝障害の患者には使えないということくらいでしょうか。
個人的にはデエビゴを基本軸とし、デエビゴが使いづらい症例でベルソムラを代用しています。
※因みに、その他の選択肢として抗うつ薬に分類されるトラゾドン(レスリン、デジレル)と非BZ系に分類されるエスゾピクロン(ルネスタ)があります。
ただ、個人的にはトラゾドンをせん妄ハイリスクに使用すると易怒性が高まっているような印象があり、非BZであるルネスタは筋弛緩作用が弱めでBZよりも依存性は低いですが、健忘や認知機能低下は生じるため、結局せん妄をせん妄を惹起している印象があります。
これら2剤はせん妄リスクの低い患者(若年者や検査入院など)に使用するのはアリかと思います。
せん妄リスクが高い患者には、基本的に上記3剤で良いかと思います。
④ ハロペリドール(セレネース)
抗精神病薬であるセレネースですが、臨床的に内服不可の患者が不眠を訴えた際に使用する先生もいらっしゃるかと思います。
しかし、セレネースはあくまで不穏になった患者を鎮める静穏作用がメインであり、夜間に落ち着かせることで入眠しているだけであり、鎮静作用は弱いです。
とはいえ、静注できる睡眠薬はないため、内服困難な場合はセレネースを選択せざるを得ない状況です。
また、セレネースはかなり古い薬剤であり、静穏作用が強い一方で副作用(抗コリン作用、EPS、循環器症状など)も強いため、使用時は呼吸・循環モニターを使用することを強く推奨します。
セレネースで寝てくれるからと言って、毎日使っていると非常に高い確率で薬剤性パーキンソニズムを生じる可能性があるため、漫然と使用することは避けて頂きたいです。
※パーキンソニズムの原因となるということは、当然パーキンソン病患者には禁忌となる薬剤であることに留意して頂きたいです。
(2)せん妄リスクを配慮した不眠時指示
以上より、不眠時指示はある程度選択肢が限られると思います。
以下の提案はあくまで個人的なものなので悪しからず…。
① せん妄ハイリスク患者:入院初日から開始
ロゼレム 8mg 1錠 1×就寝前
② 内服可能:せん妄リスクあり
デエビゴ 5mg 1錠 1日2回まで
③ 内服可能:せん妄リスクなし
ルネスタ 1mg 1錠 1日2回まで
④ 内服不可:セレネース0.5A
+生食 100mL 1日2回まで
(呼吸・循環モニター管理、入眠止め、覚醒再開)
(3)不穏となったせん妄に対する薬物療法
次に不穏となった際に使用できる薬剤について考えていこうと思います。
不穏時は抗精神病薬で鎮静をかけていく事が基本方針となります。
ただ、せん妄の薬物療法に関する有用な研究は乏しい状況です。
やはり、せん妄となる患者に対して、侵襲の強い薬剤を選択する研究は行いづらいということでしょうか…。
日本では、臨床現場での使用頻度を考慮して、
・クエチアピン(セロクエル)
・リスペリドン(リスパダール)
・ペロスピロン(ルーラン)
の4種類が、医療保険審査で使用を認められています。
① クエチアピン(セロクエル)
MARTAという種類の非定型抗精神病薬ですが、せん妄による不穏を抑制する程度の静穏作用を持ち、また抗精神病薬によって生じうる副作用が少ないというメリットがあります。
眠剤として使用できるほど鎮静作用が強いのも、せん妄との相性が良い薬剤と言えるでしょう。
加えて、細粒タイプもあり微調整しやすいため、高齢患者にも使用しやすい薬剤です。
デメリットとして糖尿病患者には使用禁忌なのが、かなり痛いです。
よって、糖尿病を持ってない患者の第一選択として挙げられます。
② リスペリドン(リスパダール)
SDAという種類の非定型抗精神病薬ですが、クエチアピンよりも静穏作用が強いため、不穏が強い患者に適応があります。
また、糖尿病患者にも使用可能という部分でクエチアピンと一線を画していると言えるでしょう。
加えて、液状タイプもあるため、患者の口腔内に入れやすいというメリットもあります。
デメリットとして、肝障害・腎障害患者には使用しづらく、またクエチアピンと違って錐体外路症状(EPS)、循環器症状(不整脈や起立性低血圧など)、悪性症候群などの副作用リスクが高いのは留意しておく必要があります。
よって、糖尿病患者の第一選択としています。
とは言え、鎮静作用はそこまで強くないので、リスペリドンのみでせん妄患者を寝かせるのは難しいと思います。
③ ペロスピロン(ルーラン)
ルーランもSDAという種類の非定型抗精神病薬なのですが、リスペリドンよりも静穏作用が弱く、副作用も弱いということです。
個人的には、ルーラン程度では暴言暴力行為がみられるような強い不穏は抑制できない印象です。
よって小柄な高齢女性で、夜間やや焦燥感が高まっていたり、やや疎通困難となった場合に使用するのはアリかと思います。
(4)せん妄による不穏時指示
以上より、不穏時指示もある程度選択肢が限られると思います。
こちらも、あくまで個人的なものなので悪しからず…。
① 内服可能:糖尿病あり
クエチアピン 25mg 1錠 1日2回まで
② 内服可能:糖尿病なし
リスペリドン液 0.5mg 1包 1日2回まで
③ 内服不可1:セレネース 1A
+生食 100mL 1日2回まで
④ 内服不可2:セレネース+アタラックスP 各1A
+生食 100mL 1日2回まで
+生食 100mL 1日2回まで
(呼吸・循環モニター管理、入眠止め、覚醒再開)
ここで新しく出た薬剤でアタラックスPとサイレースというものがありますが、これらは抗精神病薬ではなく、それぞれ抗ヒスタミン薬とBZ系です。
いずれもせん妄リスクとなるため、基本的に単剤投与は行わないようにしていますが、先述したようにセレネースには鎮静作用がないため、より入眠させる効果を強めるためにもこれらの薬剤を混ぜるのが有効です。
いわゆる「セレアタ」、「セレサイ」と略されて使用されているかと思います。
BZ系であるサイレースはアタラックスPよりも催眠作用が強い一方で、当然呼吸抑制作用が強いため、安全性を考慮すればセレネース+アタラックスPを先に使用する方が良いかと思われます。
これらはあくまで基本方針ですので、全身状態や患者の持つリスクの程度によって用量調整を行います。
ここだけの話、副作用が見られると、真っ先に抗精神病薬が被疑薬にされる事が多いので、なるべく少量投与から開始したいところです。
(5)まとめ
以上がせん妄で使用する薬剤の基本的な方針ですが、この他にも糖尿病も腎障害も持っている患者にクロルプロマジン(コントミン、ウインタミン)を使用したり、ステロイドなどにより精神病症状が強い患者に対してはオランザピンを使用するなど若干マイナーな戦略をとる場合がありますが、その辺は精神科へのコンサルテーションでお任せ頂けたらと思います。
基本的には、「せん妄予防が先決」という考え方で大丈夫だと思います。
【第47回】せん妄①:総論
こんにちは、Dr. KKです。
今回は、精神科が総合病院で最も他科からご相談を受けるせん妄についてご紹介したいと思います。
せん妄とは何なのか、せん妄は何が原因か、せん妄にさせないためには何を行うべきか、せん妄治療には何の薬剤が有効か、などを簡単にご紹介させて頂きます。
せん妄は医療費や入院期間、死亡率にかなり影響を及ぼす事が分かっており、せん妄の予防や治療は非常に重要な分野と言えます。
また、少しでもせん妄についてついて知って頂く事によって、精神科の仕事も減るというWin-Winな内容になっていると、勝手に思っております(笑)
(1)せん妄とは?
まずはDSM-5にて、せん妄の診断基準を見てみます。
A:注意及び意識の障害
→注意の方向づけ・集中・維持・転換する能力の低下、
環境に対する見当識・状況理解の低下
B:変動性
→急性発症(数時間〜数日)、元々の注意・意識からの変化、日内変動
C:認知・知覚の障害
→記憶障害、見当識障害、視空間認知・知覚の障害(幻覚)
D:AとCが他の神経認知障害(認知症など)ではなく、昏睡のような著しい覚醒水準の低下によって生じているものではない
E:その障害がなんらかの医学的疾患、物質中毒または離脱、毒物への暴露、または複数の病因によって引き起こされたという証拠がある
横断的診断だと、急性発症や日内変動、意識・注意・認知・見当識・記憶・幻覚の障害などが典型的症状と言えます。
臨床的に考えると、せん妄の本体は意識障害です。
もう少し詳細に言えば、軽度の意識混濁や意識変容といった所でしょうか。
原因としては、身体的・薬剤的要因がメインで、他にも器質的障害など脳の脆弱性も挙げられます。
つまり、全身状態不良であれば誰でもせん妄になり得ますし、入院中に医師が処方した薬剤によって生じている事もあり得るという事です。
せん妄になると治療同意が得られなくなる事も多く、困っている先生方も少なくないかと思われますが、その原因を作っているのは自分自身ということがあるのです…
よってせん妄になった際は、その原因検索が重要になってきます。
※ 因みに、全身状態が著しく悪い状態で、
「せん妄です。併診お願いします。」
とよくコンサルテーションを受けるのですが、正直言って改善はあまり見込めません。
CRP≧30といった重症感染状態にも関わらず、
「せん妄→精神科が何とかしてくれる」というのは、かなり厳しい注文です。
抗精神病薬は万能薬ではありません。
僕らでも、CRP≧30になったらここがどこか分からなくなるほど、意識もボーッとすると思います。
それを治す方法は全身状態の治療しかありません。
(2)せん妄の疫学
まず、65歳以上の入院患者の11〜42%にせん妄が起こり得るという報告があります。
(Siddiaqi N.,et al. Age Ageing. 2006)
術後せん妄となると、約半数の患者にせん妄を認め、ICU患者の約8割がせん妄を呈するそうです。
(APA. Practice guideline for the treatment of patients with delirium, 1999)
(Ely EW., et al. JAMA, 2004)
かなり高い割合で起こっていますね。
せん妄には低活動型せん妄という状態があり、このタイプだと不穏行動はあまり目立たないためせん妄と判断されず、せん妄の治療が行われていない事が多いです。
不穏行動が見られないと医師や看護師も困る事が少なく、精神科へコンサルテーションする事にならないためです。
しかし、せん妄改善後に本人に聴取すると、せん妄時の記憶は部分的に残存しているようで、かなり辛い経験である事も判明しています。
意識障害を呈している患者においては、まずはせん妄を疑って下さい。
(3)せん妄の原因
せん妄の原因は直接因子、誘発因子、準備因子の3つに分類されます。
① 直接因子
火災でいう所の火種です。
「直接因子=せん妄を直接引き起こす原因」
に該当します。
せん妄になりうる決定的な因子ですが、よく見てみると全て医師の介入が原因になることが分かると思います。
まず、身体疾患の治療が不十分であれば、当然せん妄になります。
よくある原因としては、
・高Ca血症や低Na血症といった電解質異常
・肝機能異常や腎機能異常などの臓器不全
・脱水や貧血
・炎症や低栄養状態
・頭蓋内病変(脳血管障害、頭部外傷、脳腫瘍、脳炎)や低酸素脳症
・手術
が挙げられます。
手術が原因とか、もはやどうしようもないですが、手術をしたのであればしっかり管理する必要があるという事です。
これまた愚痴になりますが、電解質異常を見逃した状態で
「せん妄です。併診お願いします。」
というコンサルテーションを受けた事があります。
「Na 120 mEq/Lとか、そりゃあせん妄になるやろ…」
と思いながら、
「電解質補正を行なってみて下さい」
と優しく返答しておきました(笑)
次に、せん妄の原因となる薬剤としては以下のようなものが挙げられます。
この中でオピオイド、抗コリン薬、抗パーキンソン薬、ステロイド、ベンゾジアゼピン系、H2-blockerであり、特に厄介なのはステロイドでしょうか。
ステロイドはせん妄以外にもステロイド性精神病といったその他の精神症状を呈する事が多く、かと言って治療には絶対欠かせない事も少なくなく、仕方なくオランザピンで鎮静をかけていくしかない時があります。
個人的には、ステロイドによる精神症状の治療はまだまだ得意ではありません…
せん妄リスクとなる薬剤に関しては病棟薬剤師が逐一確認し、主治医やリエゾンチームへ減量・変薬を提案していくのがベストな形かと思います。
② 誘発因子
火災でいう所のガソリンです。
火に油を注げば、そりゃあせん妄もひどくなります。
「誘発因子=せん妄を起こしやすくする原因」
に該当します。
しかしこれもまた、医療側による原因として考えるべきでしょう。
上図を参照して頂ければ分かるかと思いますが、点滴やドレーンといった我々の管理上の都合で行っている医療行為や、疼痛や便秘といった我々の身体管理不足や、病室環境によるストレスなど、よくよく考えてみれば防げる因子も沢山あると思います。
③ 準備因子
火災でいう所の薪です。
火が広がる土台がなければ火災は成り立ちません。
「準備因子=せん妄のなりやすさ(脳の脆弱性)」
に該当します。
これだけは患者側に要因があると言えるでしょう。
しかし、高齢であることや認知機能低下、頭部疾患の既往など仕方のない部分も多いです。
(4)せん妄の対策
原因から考えられる対策方法ですが、最も重要な因子はやはり直接因子です。
これを減らすことも重要ですが、今以上に増やさないことが治療の根幹になります。
つまりせん妄予防に十分配慮した睡眠薬の選択が重要という事です。
せん妄に関する薬物療法については次回ご説明致します。
誘発因子に対しては、せん妄を起こしやすくなる環境の調整がメインなので、せん妄予防となる非薬物療法(ケア、せん妄リハなど)が有効とされています。
準備因子に対しては、患者のポテンシャルである部分が大きいため、なかなか治療介入できる部分は少ないですが、「せん妄ハイリスク」として評価し、早期対応を行うべく医療側で共有しておく事が重要になります。
(5)まとめ
せん妄は頻出疾患でありながら、正しい治療介入がなされていない事が少なくありません。
しかしせん妄症例の多くは改善が望める事も事実です。
次回は精神科が勧めるせん妄への薬物療法について考えていきます。
【第46回】友人の結婚式はコロナ対策完璧だった!
こんにちは、Dr. KKです。
今回は先日参加した友人の結婚式について語ろうと思います。
その友人は、コロナ禍を考慮して、
「今のご時世に挙式して良いのか」
と非常に悩み、2度も開催延期を余儀なくされました。
ただ、新婦の妊娠発覚を機に今回挙式する事となったそうです。
今回の挙式内容を振り返ると、コロナ禍の大きな影響を改めて実感しました。
(1)少人数制:他県出身の新郎家族は欠席
まず驚いたのは、参加人数の少なさです。
恐らく総勢30人程度だったと思います。
一つのテーブルに2〜3人のみで、しかもパーテーションも取り付けられていました。
パーテーションとBGMで同卓だった知人の話が全く聞こえないという不自由さがありました(笑)
同じ友人グループの中でも、現在他県在住の人は欠席していました。
コロナ禍かつ医療関係者という事もあり、自粛ムードが拭いきれないようです。
一番驚いたのは、新郎のご家族が欠席していた事です。
他県出身ということもあり、当日はオンラインでの参加となっていました。
親御さんも非常に残念だったと思いますが、同時に英断だとも思いました。
(2)感染対策の徹底
次に当然ではありますが、感染対策の徹底ぶりに驚きました。
消毒や検温は勿論のこと、披露宴の醍醐味でもあるデザートビュッフェも中止となり、お皿ごとの提供となっていました。
デザートを楽しみにしていたのですが、非常に残念でした…
また、清拭用のウェットティッシュをテーブルごとに配置しており、皆こまめに自身の周辺を拭いていました。
色々な病院関係者が来席していましたが、皆さんかなり気を遣われている事がひしひしと伝わってきました。
さらに、飲み物はすべてノンアルコールとなっていました。
歓談による感染リスクを少しでも減らすためにも、断腸の思いでアルコール飲料提供を中止したようです。
新郎新婦が徹底的に気配りを行った上での素晴らしい決断だったと思います。
(3)二次会はなし、引き出物も郵送
そんな厳しい制限の中、新郎新婦の工夫が凝らされた全ての催しが終了した後は、各個人が自家用車やタクシーで帰宅しました。
二次会の企画もなく、また引き出物も全員郵送となっておりました。
もちろん結婚式は新郎新婦の晴れ姿が見れ、また友人と久しぶりに会えるので来席者は楽しいですが、当人たちはもっと盛大に披露宴をやりたかったでしょう。
コロナよ。早く終息しなさい。
【第45回】「Playing with FIRE:FIREを目指せ 最強の人生向上術」を読んで
こんにちは、Dr. KKです。
今回はFIRE関連の書籍をご紹介します。
僕がこれまで読んできたFIRE関連の書籍の中で一番のお気に入りです。
(1)基本情報
本書は、著者であるスコット・リーケンズさんが2017年2月(33歳)の時にFIREの存在を知ってから、2018年8月までのドキュメンタリー調に描かれています。
日本では2021年11月に発売開始されました。
スコット・リーケンズさんはエミー賞にノミネートされた映像・ビデオ製作者かつ作家の顔を持ち合わせる方です。
いわゆるやり手の業界人ですね。
スコットさんは2017年2月にFIRE火付け役のピート・アデニーさんの話を聞いた事がきっかけで、FIREを目指すこととなったそうです。
妻のテイラーさんにFIREについて伝えましたが、元々浪費家であった2人であり、当初はなかなか妻の理解を得られませんでした。
このように、価値観の違う2人がどうやってFIREを目指すに至ったのか?という非常に興味深いストーリーです。
因みに、本書の内容通りのドキュメンタリー映画「Playing With FIRE」が公開されているようです。
気になる方は、ぜひご覧になってみて下さい。
(2)要旨
アメリカでもFIREの価値観は未だにマイノリティだそうで、著者も
「本当にFIREを目指すのは正しい道なのだろうか?」
という不安を抱えながらも、自分の価値観を信じて進んでいく過程が描かれており、共感できる内容が多いです。
殆ど投資の話は出てこないので、資産運用の参考にはなりませんが、FIREを目指すにおいて浪費家の夫婦がどういう行動をとり、どういう考えに至ったのか、非常に勉強になります。
(3)FIREを目指す過程では、皆同じような不安を感じている
まずは目次を載せます。
序文:ピート・アデニー、またの名を「Mr. マネーマスタッシュ」
イントロ:FIREとは何か
第1章:「仕事して、食べて、寝る」の繰り返し
第2章:100万ドルのアイデア
第3章:幸せを感じる瞬間ベスト10
第4章:たかがコーヒー代、されどコーヒー代
第5章:BMWとボートクラブ
第6章:さらば、コロナド
第7章:旅の始まり
第8章:インデックスファンドとは何か?
第9章:FIREの「学び」
第10章:家族と節約
第11章:夢の家 vs 夢の暮らし
第12章:「FIRE友」作り
第13章:広がる火「FIRE」
① FIREとの出会い
まずは、著者がFIREに出会った経緯が記されています。
「FIRE~最強の早期リタイア術~」の著者であるクリスティー・シェンや「お金か人生か」の著者であるヴィッキー・ロビン、「Mr. Money Mustache」というブログで有名なピート・アデニーの影響を受けてFIREについて興味が湧いたそうです。
僕もこれらの著書は読みましたし、人生観やお金に対する価値観などについて見つめ直す良いきっかけになりました。
FIREは「経済的自由と早期退職」の略ですが、日本では早期退職の意味合いが強いと思います。
それほど、日本人も仕事を辞めたい人が多いのだ思います。
でも僕としては、重要なのは経済的自由の方だと思います。
FIREを達成者は好きなことをして生活し、世間体や見栄など気にしない幸せな生活を送っています。
FIREを達成すると、働くか働かないかは本人の自由になります。
つまり働かないためにFIREを目指すというよりも、働かない自由を手に入れるためにFIREを目指すということです。
② 家族で同じ目標を目指す
これはFIREを目指す人が意識している基本的な考え方だと思いますが、
「この内容を家族や友人、配偶者に理解してもらうのは容易ではない」
と著者は述べています。
FIREの発祥地であるアメリカですら、FIREの価値観はなかなか理解されないそうです。
やはり、定年まで働くのが当たり前とされてきた時代を生きてきた人には、FIREの概念は理解されにくいようです。
特に著者のように、BMWや趣味のボートクラブ会員権をどうしても維持していたい妻との話し合いもFIREの障壁あるあるだと思います。
FIRE達成するために、配偶者の説得は重要事項だと思います。
③ やはり支出管理が最重要
今までご紹介させて頂いた書籍と同様に、やはりこの本でも支出管理をしっかり行っていました。
FIREを目指すまでの1ヶ月の支出は、なんと約1万ドルだったそうです!
世帯収入が約1.2万ドルなのに、貯蓄率はわずか16%だったようです。
(一般的に16%は平均的だとは思いますが)
そこで、1ヶ月の支出内容について調べてみたところ、以下のようになりました。
家賃:3,000ドル
保育費:2,500ドル
食費2,100ドル
車リース代:650ドル
車両保険+ガソリン代:600ドル
娯楽費:450ドル
ボートクラブ会費:350ドル
通信費:300ドル
光熱費:150ドル
医療費:140ドル
その他:100ドル
家賃、食費だけで5,500ドルです…見事なまでの散財ですね。
アメリカは保育費用も相当かかるようですね。驚きました。
娯楽費用は毎月800ドルだったです。
娯楽費用も高いかと一瞬思いましたが、僕の家庭も5〜6万円はかかってそうなので、そこまで変わりませんでした。
僕らの家庭ももう少し削る必要がありそうです。
ここで、貯蓄率から算出される、FIRE達成までかかる年数を見てみます。
貯蓄率が16%だと、FIRE達成までに約40年もかかってしまいます。
これに気がついた著者は、大幅に支出カットへ動きました。
地方に住む事で家賃を抑え、外食を減らして食費を抑え、車への出費も減らしていきました。
現在の1ヶ月の支出は5,000ドルで、貯蓄率は約58%まで上昇したようです。
先程のグラフで見てみると、わずか12-3年でFIRE達成出来てしまいます。
④ FIREにまつわる不安
貯蓄率を上げて投資に回し、徐々にFIREへ近づいていくと様々な不安が出てきたそうです。
例えば、
「FIREしたら、しなかった場合に得られたはずの収入が勿体ないのでは?」
という不安です。
これは本当に共感出来ます。
僕は40歳手前でサイドFIREを予定していますが、となると常勤医師として最も給与の高い時期にフル勤務ではなくなるということです。
医師20年目だと年収1,500万円も十分可能だと思いますが、サイドFIREだとどんなに給与が良くても1,100〜1,200万円程度までしか見込めないでしょう。
つまり、年間数百万円の収入減が予想されます。
こういうのを考えると、やはり勿体ない気もしてきます。
数百万円あれば、旅行や趣味などで贅沢ができますし。
ただ一方で、週休4日だと人生が豊かになると信じています。
去年も2回ほど週休4日の1週間を経験しましたが、家のことも沢山出来ましたし、自分の趣味にも時間を割く事が出来ました。
平日だと行きたいお店も比較的空いている事が多いですし、郵便局や税務署など常勤だと平日に行けないような場所も利用できます。
要するに、大事なのは「お金か人生か」ということですね。
2つ目の不安としては
「予想より資産収入が得られなかったら、FIREの生活は継続できるのか」
というものです。
これも本当によく分かります。
どんなに
「4%ルールに則れば、計算上95%は投資資産を30年以上維持できる」
と言われていても、
「5%に自分が入るかもしれない」
「もっと切り崩す割合を下げられるまで働き続けた方が良いのでは?」
という気持ちが出てきます。
著者は既にFIREを達成している人や、FIREを目指している人達によるコミュニティに参加し、FIREを目指す上で持ち続けるべき基本理念を改めて学んだようです。
これまで紹介させて頂いた書籍にも同様の内容が書いてありましたが、
「自分が価値を置くもの以外にはお金を使わない」
「人と自分を比べず、社会で主流となっている生き方・考え方に疑問を持つ」
これだけは信念として貫いていくと決めて、あとはひたすら資産形成に邁進したようです。
残念ながら、僕の周りにはFIREを本格的に目指している人はいません。
著者と同様に、寂しいというか孤独の闘いのような気持ちになることもあります。
大きな支出が重なり、先月と今月は資産がかなり減ってしまいましたが、
「こんなに支出があって、本当にサイドFIREできるのか」
と不安になる事も多々あります。
いつかは本書のように、FIREコミュニティを探してみるのも悪くないかなと思っています。
すぐに思いつくのは両学長のリベシティでしょうか?
その他にも、どこか良さそうなコミュニティがあるか探してみます。
(4)感想:この書籍のようなブログにしたい!
本書を読んで、まず思ったのは
「こういう内容のブログにしたい!」
「一番読みたかった本に出逢えた!」
ということです。
投資の話は殆ど記載されていないため、投資の本格的な勉強にはならないと思います。
ただ、元々浪費家だった夫婦がどうやってFIRE達成に向けて努力したのかというプロセスが描かれており、FIREに興味がある人には非常に参考になる書籍だと思います。
僕は投資のプロでもなく、ミニマリストでもありません。
好きなことにはお金は使って、その他は少しだけ切り詰めて、S&P500というありきたりな投資信託を積み立てています。
最短ルートのFIREを目指している訳ではありません。
むしろ、
「医師がFIREを達成するまでには、こんな障壁を越えていく必要があった!」
という体験談的なブログ内容にしたいと思っています。
本書の内容は、まだまだFIREまでの道半ばの僕ですら同感する部分がとても多かったです。
初めてFIREについて妻に話した時は全く共感してもらえませんでした。
本気でFIREに憧れている同僚も友人もいません。
節約といっても仕事柄、車は必要ですし、いつかは家も建てたいと思っています。
「割とラフな感じでどこまでFIREに近づけるか」
という、自分が昔知りたかった体験談を今後も記録していこうと思いますので、長い目で見て頂けたらと思います。
【第44回】「人は、なぜ他人を許せないのか」を読んで
こんにちは、Dr. KKです。
今回は、先日読んだ書籍のご紹介をさせて頂きます。
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(1)基本情報
本書は、テレビ番組でもお馴染みの脳科学者 中野信子さんの書籍です。
他人の失敗や自分と異なる意見を受け入れられない人が少なくありません。
全く知り合いでもない有名人の不倫や不祥事に対して、ネット上で
「生理的に無理」
「早く引退しろ」
といった発言を見かけることもあります。
こうした現象がなぜ起こってしまうのか、なぜ我々は他人を許す事ができないのか、について詳細に説明しています。
東京大学工学部応用化学科を卒業後、同大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻を修了しています。
博士論文は「高次聴覚認知における知覚的範疇化の神経機構 fMRI・TMSによる複合的検討」だそうです。
フランス国立研究所ニューロスピン(高磁場MRI研究センター)で勤務し、現在は東日本国際大学特任教授に就任されています。
多くの書籍を執筆しており、本書は16万部以上のベストセラーです。
(2)要旨
人間の脳の構造上、自分の所属集団以外を受容できず、攻撃的になる傾向にあるため、誰しもが、他人を許す事ができない「正義中毒」に陥る可能性があります。
集団で正義中毒に陥った場合、多様性を狭めてしまうことになりますが、島国という閉鎖的環境で発展した日本は特にそういった風潮に陥りやすいです。
正義中毒に陥らないためには、普段から前頭前野を鍛え、メタ認知の力を身につけることが重要です。
(3)日本の特殊性
① 正義中毒は日本社会で蔓延しやすい
人は他人に正義の制裁を与えることで快楽を得ることができ、快楽にハマっている状態を、本書では「正義中毒」と表現しています。
他人に制裁を加えた際は、報酬系のドパミン放出が関与しているようです。
島国であり、かつ災害大国であったという歴史的・地理的背景から、日本社会は特にこうした正義中毒に陥りやすいと言われています。
日本では古来から、地震や飢饉などの自然災害から身を守るために集団的自衛を重んじていたため、非常に社会性の高い民族となりました。
一方でこれは、排他的な民族といっても過言ではありません。
日本の集団的自衛の概念において最も重要視されるのは集団の存続であって、個人の存続ではありません。
集団という単位は大小様々存在します。
市町村が同じであれば当然親近感が湧きますし、方言が近い地方であっても一種の仲間意識が芽生える事があります。
海外旅行に行った際、日本人に出会うだけで非常に大きな安心感を得られるのは、僕だけじゃないと思います。
会社の同僚という単位もありますし、医師という職業でも括る事ができそうです。
日本人は自身が所属する集団への帰属意識が諸外国よりも突出しているようです。
② 多様性の排他は集団を滅亡に導く
正義中毒に陥りやすいのは、多様な価値観を受容できない人です。
そして、その人の持っている意見はあくまで正義=正論であるため、その人のスタンスを否定しづらいという、より厄介な状況を作り出しています。
正論は確かに間違ってはいないのですが、様々な状況に対する柔軟性がなくなりやすいという大きなデメリットが存在します。
この柔軟性とは、様々な意見・価値観を受け入れられることを意味します。
自分とは異なる価値観に直面した時、「自分の意見と異なるなんて許せない」と感情的に反応するのではなく、「そういう考え方もある」と俯瞰して判断する事が大切です。
しかし、正論を振りかざす人が何人か集団となった場合、その集団に帰属意識が生まれ、その集団の意見と異なる人間を排除しようとしてしまう傾向があります。
この状況は長期的には集団の多様性を失うことになるため、その集団が予想していない状況に直面した時、一気に滅亡するリスクが高まってしまいます。
ただ、帰属意識が固まってしまった状況では、もはやこうした柔軟性を得る機会はありません。
こうした柔軟性を欠いた考え方は、「集団内の仲間を外の人間より優れていると考えてしまう」といういわゆる「内集団バイアス」が原因と書かれています。
外の人間をバイアスによって一元的に処理するのは、非常にコストパフォーマンスが高い行為です。
「どうせ○○な奴は○○に違いない」と考えることで、脳が手抜きをしているわけです。
一人一人の内面や人間性を吟味するのは、非常に手間がかかる行為ですからね。
ただ、こうした一元的な処理によって多様性が失われるため、諸刃の剣であるわけです。
③ 前頭前野は30代から衰える
このような柔軟性を欠く考え方に陥るのは、前頭前野の衰えが原因ではないかと筆者は考えています。
前頭前野は分析的な思考や客観的な思考に関与しており、前頭前野が発達している人は短期的な損得よりも長期的な損得を優先できるようで、社会的地位や経済的地位が高くなる傾向があるそうです。
ただ、前頭前野は30歳をピークに徐々に衰えていく部分であるため、年齢を経るにつれて頑固で柔軟性を欠くようになるわけです。
日本人がその他の人種に比べて前頭前野が劣っているというデータは本書には書かれていなかったので、日本人の正義中毒はやはり環境因子が強く影響しているようです。
④ 対策その1:新しい経験
前頭前野機能を維持するための方法がいくつか紹介されていました。
1つ目は「慣れていることをやめて新しい体験をする」ことです。
積極的に新しい経験をすることで、脳に良い刺激が入って脳が活性化します。
皆さんの中には、いつも同じお気に入りの店に行って、いつも同じメニューを頼んでいる人はいるかと思います。
些細なことで良いので、
「いつもと違う店を選んでみる」
「期間限定のメニューを頼んでみる」
など、いつもと少しでも異なる行動が前頭前野の活性化を促すそうです。
⑤ 対策その2:自分と異なる環境
2つ目は、「あえて不安定・過酷な環境に身を置く」ことです。
柔軟性に欠くようになるのは、やはり知識や経験の乏しさが原因となることもあります。
これは、海外に移住するほどの大きな環境変化だけではなく、
「普段なら絶対読まない本、関心のない本を読んでみる」
「ネットで興味のないニュースなどを閲覧する」
といった手軽なものでも、異なる環境に身を置くのと同様の活性化を期待できるそうです。
⑥ 対策その3:先入観を捨てる
3つ目は「安易なカテゴライズ、レッテル貼りに逃げない」ことです。
先述の通り、バイアスによる先入観に囚われない事が重要となります。
しかしこれは、前頭前野を使う機会を失うことにもなります。
脳はすぐにラクをしてしまいます。
他人を許せるようになるためには、やはり柔軟性を維持するためにも、面倒でも一人一人を地道に吟味する癖をつける必要があります。
⑦ 対策その4:心の余裕
4つ目は「余裕を持つこと」です。
生活に余裕を持つことが前頭前野を使うためには必要です。
食事や睡眠などの生活リズムを整えることは、心身ともに余裕を持つことに繋がります。
自分に余裕がない時は、やはり他人の間違いを許せなくなります。
まずは自分の心と体の健康を意識しましょう。
(4)感想
一通り読んでみた感想として、割と既視感のある内容でした。
ただ、最近のSNSなどインターネット上での心ないコメントなど、目に余る状況が続いており、一人一人がこうした問題について一度考え直す必要があります。
あえてFIREというテーマにつなげると、医師は本当に心身ともにすり減らせる仕事です。
もちろん医師の皆さんは、自身の高い能力と残業で何とか仕事を回していらっしゃいますが、冷静に考えてみると異常な仕事量をこなしていると思います。
比較的高い給与を得られる職業ではありますが、あまりに負担の大きい仕事です。
他人のミスが許せないほど、心にゆとりが無くなっている先生もよく見かけます。
サイドFIREを達成して、まずは自分の心にゆとりを持つことが、同僚や患者さんへの配慮にもつながると思います。
患者さんを治す以前に、自分が心身ともに健康であることが最も重要なことかもしれません。
【第43回】2022年1月の資産推移
こんにちは、Dr. KKです。
今回は先月の資産推移を書いていこうと思います。
後半では、今月個人的に気になった経済トピックについて話そうと思います。
(1)資産推移
まず、現在の投資状況を以下に示します。
・毎月1日:積立NISA 33,333円(eMAXIS Slim 米国株式 S&P 500)
→合計:996,969円(+213,640円:+21.43%)
・毎月5日:100,000円(eMAXIS Slim 全世界株式)
→合計:94,039円(-5,961円:-5,96%)
・毎月25日:250,000円(eMAXIS Slim 米国株式 S&P 500)
→合計:4,569,852円(+319,852円:+7.00%)
・投資合計金額(先月比:-21,863円)
→合計:5,660,860円(+527,531円:+9.32%)
(2)現金推移
また、現金も詳細を以下に示します。
●収入ー支出:-1,989,168円(貯蓄率:-169%)
●収入合計:1,182,478円
・月収(手取り:夫婦合計):1,182,478円
●支出:3,171,646円
・自動車代:1,625,641円(先月比:+1,437,066円)
・家賃+駐車場代+引越し代:1,067,510円(先月比:+984,300円)
・ふるさと納税:120,000円(先月比:+120,000円)
・食費:96,687円(先月比:+36,843円)
・趣味 娯楽代(旅費など):49,800円(先月比:+48,300円)
・水道 / 光熱費:40,774円(先月比:+18,522円)
・書籍 教育費:32,840円(先月比:-4,470円)
・家電:29,917円(先月比:+29,917円)
・日用品代:25,176円(先月比:+21,310円)
・交際費:23,000円(先月比:-73,824円)
・自分の小遣い:19,479円(先月比:-18,840円)
・通信費:16,597円(先月比:-275円)
・衣服 美容代:15,750円(先月比:-33,425円)
・保険代:7,650円(先月比:±0円)
・医療費:525円(先月比:-12,354円)
・その他(医局費など):5,000円(先月比:-5,000円)
(まだ反映されていないものもあるため、随時更新していきます。)
●現金合計金額:9,570,012円(先月比-2,250,297円)
(妻から「1,000万円程度は現金で置いておくように」と厳命されています。)
よって、2022年1月現在の資産配分は以下の通りです。
現在、2030年度目標額(103,400,000円)の14.7%(先月比-2.2%)です。
(3)1月の家計総括
先月はとんでもない大出費となりました。
車の購入と引越し代だけで合計約260万円もかかりました。
そのため、現金が一気に970万円以下まで低下しました。
必要経費なので、とりあえず、目を瞑りましょう…
むしろ、その他の生活費が気になりました。
まずは食費ですが、妻のカフェ巡りやパン屋巡りが45,000円以上となっていたため、支出増額について共有しました。
光熱費について、以前の記事でもご報告したように、娘のコロナ感染で自宅隔離していたためか、通常よりも高めになってしまいました。
電力に関しては1万円程度多くかかったようです。
水道代は2ヶ月ごとの請求で、今月重なったことも支出増額の一つだと思います。
家電はベビーモニターとコーヒーメーカーです。
来年度から子供部屋を作るため、夜泣きに対応するためにもベビーモニターが必要と考えました。
コーヒーメーカーは妻の趣味で購入しました。
わざわざ今月に限って購入しなくても…(小声)
日用品に関しては、先月がたまたま安く済んだだけのようなので、気にしないことにしました。
衣服代は妻の洋服購入や美容院代がなかったため、かなり安く抑えられました。
素晴らしい!
自分の小遣いに関しては、今年の目標を
「コンビニに行かないこと」
としたのですが、早速効果が出たようです。
ちょっとしたペットボトルやお菓子などを意識するだけで、これだけの支出が減る事が分かりました。
もちろん、先月はプロテインを購入したので、減額した全てが効果とは言えませんが…。
かなり現金の減りが激しいですが、毎月の投資額は変更しないことにします。
現金はまた稼げば増えるので、投資額は維持していきたいです。
後述しますが、投資も芳しくありませんでした。
今月で今年度目標の600万円に到達すると期待していましたが、今月は足踏みしてしまいました。
まあ気長に待っておきましょう。
資産運用では長期・積立・分散が勝利の基本です。
ここで方針がブレないように、あまり一喜一憂しないようにしておきます。
また、意図せずして現金の比重が下がりました。
2030年度には現金の割合を25〜30%まで下げる予定なので、これに関しては好都合と考えました。
(4)1月の感想:ウクライナ情勢緊迫化
今月はかなり経済指標が不安定となりました。
オミクロン株の感染拡大やFRB(The Federal Reserve Board:連邦準備理事会)の利上げ発表など多くの要因が挙げられますが、今回はロシアによるウクライナ侵攻の可能性とそれによる世界経済への影響を考えていこうと思います。
① 基本情報
まずはウクライナとロシアの関係が不安定となった歴史的背景などを調べてみました。
そもそもウクライナは1991年にソビエト連邦が崩壊した際に独立した国です。
独立以降、ウクライナ国内では親ロシア派と親欧米派の対立が継続してきました。
ちなみに2019年に就任したゼレンスキー大統領は親欧米派で知られています。
ただ、やはり国境はただの概念であり、元々陸続きであるため、ウクライナ東部はロシアと民族・文化・宗教が同じであるため、ロシアもウクライナを兄弟国として、特別に扱ってきた歴史があります。
ちなみに、ウクライナの広い地域でロシア語が公用語として使われています。
2014年にウクライナで親ロシア派のヤヌコビッチ政権が崩壊すると、ロシアはウクライナ南部のクリミア半島に侵攻して併合を宣言し、東部の一部を支配する親ロシア派勢力を支援してきました。
ロシアがウクライナを特別視するもう1つの理由が、北大西洋条約機構(NATO)の存在です。
ソ連崩壊後、かつて東側陣営だったポーランド、チェコ、バルト3国などが次々とNATOに加入しました。
NATOの東方拡大は、ロシアにとって周辺国への影響力低下と国防上の脅威につながるため、陸続きのウクライナのNATO加盟は決して容認できないのです。
よって、ロシアは前々からNATOに対してウクライナの加入を認めないように要求していました。
しかし、今月26日にアメリカとNATOがその要求を拒否したと報道されました。
こうしたやりとりの中、現在ウクライナ東部の国境に10万人規模のロシア軍が配備され、一方で西側諸国もウクライナに軍派遣と武器供給を予定しており、一気に国境の緊張が高まっています。
② 世界経済への影響
ウクライナ情勢の不安定化によって影響を受けるのは大きく分けて2つで、エネルギー価格と農産品価格の上昇です。
前者について、原油や天然ガスの産地国であるロシアから西欧諸国へパイプラインがあります。
西欧諸国との衝突が起きれば、当然この供給ラインは不安定となるため、ウクライナ情勢との関係は密接とされています。
後者について、実はウクライナは巨大な農産物輸出国です。
特に植物油、とうもろこし、菜種などは世界シェア10%以上を占めています。
小麦粉も7%以上で、ウクライナ情勢の不安定化により、これらの供給量に影響が出ることは必至です。
これらの影響を受けて、世界経済全体がインフレに傾く可能性があります。
③ 軍事衝突の可能性
ロシアがウクライナに侵攻した場合、西側諸国によりロシア側に大規模な経済制裁が課されるのは明白です。
正直、ロシアが経済制裁を課されてまでも再侵攻するメリットは少ないと思います。
恐らく、軍事衝突を避けるべく両陣営で協議を行い、妥協点を探っていくことになると僕は考えています。
なので、国境付近の緊張が落ち着いたら、再び世界経済が発展していくのではないかと予想しています。
それまで、安値となった株式に定額積立投資してパワーを蓄えましょう!
【第42回】医局人事で引っ越すことに…
こんにちは、Dr. KKです。
今回は来年度の勤務に向けて引っ越すことになったので、引越し代などについてご報告させて頂きます。
それにしても、引越しって大変だと改めて思いました…
(1)引越し先
まず現在の住宅費(家賃+駐車場代2台分)は83,210円です。
来年度は割と都市部のため、住宅費がかなりかさみそうです。
また、現在住んでいるマンションは2DKでしたが、子供が寝る部屋がないために、夜になるとかなり行動に制限がかかっています。
そのため、来年度からは3LDKを希望しています。
色々探した結果、以下の条件のマンションを選択しました。
・家賃:月97,000円
・管理費:月5,000円
・駐車場代2台分:月36,000円
・火災保険:20,000円(2年更新)
これに加えて、初期費用がかかります…これが高い…
敷金・礼金・仲介手数料など諸々合わせて、合計:764,300円(税込)となりました。
(2)引越し費用
次に引越し費用ですが、僕はいつもサカイ引越センターに頼んでいます。
サカイ引越センターは料金も良心的ですし、作業の質や接客対応も非常に高いクオリティです。
諸々計算して頂き、3月上旬の引越しを予定し、代金は220,000円となりました。
なお、サカイ引越センターは前回も利用している場合、2割引となりますし、端数は切り捨てて頂きました。
よって引越しの総費用は984,300円となりました。
(3)最大の失態…現金払い
約100万円もかかってしまいましたが、実はとんでもない失態を演じてしまいました。
なんと、クレジット払いできる事を知らず、まさかの現金払い…
合計約1万円分くらいのポイントを損してしまいました…
痛すぎる…
家賃はクレジット払いできない事が多いため、引越し費用なども現金払いのみだと思っていましたが、調べてみると不動産会社への初期費用の支払いも、サカイ引越センターの支払いもクレジット払い出来るそうです。
反省です…
痛い勉強代となりました…
記事を読んで初めて知った方がいらっしゃれば、次回の引っ越しからはクレジット払いを希望するようオススメします。
(4)医局人事は実に不自由
さて、今回引越しとなった要因は医局人事です。
人事異動なのでもちろん仕方がない事ですが、やはり金銭的にも精神的にも負担が大きいですね。
また、僕の場合は妻も入局しているため、妻の人事異動にもかなり影響を受けます。
実に不自由…
来年も引越しとなる可能性も十分に考える必要がありそうです…
サイドFIREを達成するためには、退局する必要があります。
退局前には周到な準備が必要なので、転職業者に相談してみようと思います。