【第45回】「Playing with FIRE:FIREを目指せ 最強の人生向上術」を読んで
こんにちは、Dr. KKです。
今回はFIRE関連の書籍をご紹介します。
僕がこれまで読んできたFIRE関連の書籍の中で一番のお気に入りです。
(1)基本情報
本書は、著者であるスコット・リーケンズさんが2017年2月(33歳)の時にFIREの存在を知ってから、2018年8月までのドキュメンタリー調に描かれています。
日本では2021年11月に発売開始されました。
スコット・リーケンズさんはエミー賞にノミネートされた映像・ビデオ製作者かつ作家の顔を持ち合わせる方です。
いわゆるやり手の業界人ですね。
スコットさんは2017年2月にFIRE火付け役のピート・アデニーさんの話を聞いた事がきっかけで、FIREを目指すこととなったそうです。
妻のテイラーさんにFIREについて伝えましたが、元々浪費家であった2人であり、当初はなかなか妻の理解を得られませんでした。
このように、価値観の違う2人がどうやってFIREを目指すに至ったのか?という非常に興味深いストーリーです。
因みに、本書の内容通りのドキュメンタリー映画「Playing With FIRE」が公開されているようです。
気になる方は、ぜひご覧になってみて下さい。
(2)要旨
アメリカでもFIREの価値観は未だにマイノリティだそうで、著者も
「本当にFIREを目指すのは正しい道なのだろうか?」
という不安を抱えながらも、自分の価値観を信じて進んでいく過程が描かれており、共感できる内容が多いです。
殆ど投資の話は出てこないので、資産運用の参考にはなりませんが、FIREを目指すにおいて浪費家の夫婦がどういう行動をとり、どういう考えに至ったのか、非常に勉強になります。
(3)FIREを目指す過程では、皆同じような不安を感じている
まずは目次を載せます。
序文:ピート・アデニー、またの名を「Mr. マネーマスタッシュ」
イントロ:FIREとは何か
第1章:「仕事して、食べて、寝る」の繰り返し
第2章:100万ドルのアイデア
第3章:幸せを感じる瞬間ベスト10
第4章:たかがコーヒー代、されどコーヒー代
第5章:BMWとボートクラブ
第6章:さらば、コロナド
第7章:旅の始まり
第8章:インデックスファンドとは何か?
第9章:FIREの「学び」
第10章:家族と節約
第11章:夢の家 vs 夢の暮らし
第12章:「FIRE友」作り
第13章:広がる火「FIRE」
① FIREとの出会い
まずは、著者がFIREに出会った経緯が記されています。
「FIRE~最強の早期リタイア術~」の著者であるクリスティー・シェンや「お金か人生か」の著者であるヴィッキー・ロビン、「Mr. Money Mustache」というブログで有名なピート・アデニーの影響を受けてFIREについて興味が湧いたそうです。
僕もこれらの著書は読みましたし、人生観やお金に対する価値観などについて見つめ直す良いきっかけになりました。
FIREは「経済的自由と早期退職」の略ですが、日本では早期退職の意味合いが強いと思います。
それほど、日本人も仕事を辞めたい人が多いのだ思います。
でも僕としては、重要なのは経済的自由の方だと思います。
FIREを達成者は好きなことをして生活し、世間体や見栄など気にしない幸せな生活を送っています。
FIREを達成すると、働くか働かないかは本人の自由になります。
つまり働かないためにFIREを目指すというよりも、働かない自由を手に入れるためにFIREを目指すということです。
② 家族で同じ目標を目指す
これはFIREを目指す人が意識している基本的な考え方だと思いますが、
「この内容を家族や友人、配偶者に理解してもらうのは容易ではない」
と著者は述べています。
FIREの発祥地であるアメリカですら、FIREの価値観はなかなか理解されないそうです。
やはり、定年まで働くのが当たり前とされてきた時代を生きてきた人には、FIREの概念は理解されにくいようです。
特に著者のように、BMWや趣味のボートクラブ会員権をどうしても維持していたい妻との話し合いもFIREの障壁あるあるだと思います。
FIRE達成するために、配偶者の説得は重要事項だと思います。
③ やはり支出管理が最重要
今までご紹介させて頂いた書籍と同様に、やはりこの本でも支出管理をしっかり行っていました。
FIREを目指すまでの1ヶ月の支出は、なんと約1万ドルだったそうです!
世帯収入が約1.2万ドルなのに、貯蓄率はわずか16%だったようです。
(一般的に16%は平均的だとは思いますが)
そこで、1ヶ月の支出内容について調べてみたところ、以下のようになりました。
家賃:3,000ドル
保育費:2,500ドル
食費2,100ドル
車リース代:650ドル
車両保険+ガソリン代:600ドル
娯楽費:450ドル
ボートクラブ会費:350ドル
通信費:300ドル
光熱費:150ドル
医療費:140ドル
その他:100ドル
家賃、食費だけで5,500ドルです…見事なまでの散財ですね。
アメリカは保育費用も相当かかるようですね。驚きました。
娯楽費用は毎月800ドルだったです。
娯楽費用も高いかと一瞬思いましたが、僕の家庭も5〜6万円はかかってそうなので、そこまで変わりませんでした。
僕らの家庭ももう少し削る必要がありそうです。
ここで、貯蓄率から算出される、FIRE達成までかかる年数を見てみます。
貯蓄率が16%だと、FIRE達成までに約40年もかかってしまいます。
これに気がついた著者は、大幅に支出カットへ動きました。
地方に住む事で家賃を抑え、外食を減らして食費を抑え、車への出費も減らしていきました。
現在の1ヶ月の支出は5,000ドルで、貯蓄率は約58%まで上昇したようです。
先程のグラフで見てみると、わずか12-3年でFIRE達成出来てしまいます。
④ FIREにまつわる不安
貯蓄率を上げて投資に回し、徐々にFIREへ近づいていくと様々な不安が出てきたそうです。
例えば、
「FIREしたら、しなかった場合に得られたはずの収入が勿体ないのでは?」
という不安です。
これは本当に共感出来ます。
僕は40歳手前でサイドFIREを予定していますが、となると常勤医師として最も給与の高い時期にフル勤務ではなくなるということです。
医師20年目だと年収1,500万円も十分可能だと思いますが、サイドFIREだとどんなに給与が良くても1,100〜1,200万円程度までしか見込めないでしょう。
つまり、年間数百万円の収入減が予想されます。
こういうのを考えると、やはり勿体ない気もしてきます。
数百万円あれば、旅行や趣味などで贅沢ができますし。
ただ一方で、週休4日だと人生が豊かになると信じています。
去年も2回ほど週休4日の1週間を経験しましたが、家のことも沢山出来ましたし、自分の趣味にも時間を割く事が出来ました。
平日だと行きたいお店も比較的空いている事が多いですし、郵便局や税務署など常勤だと平日に行けないような場所も利用できます。
要するに、大事なのは「お金か人生か」ということですね。
2つ目の不安としては
「予想より資産収入が得られなかったら、FIREの生活は継続できるのか」
というものです。
これも本当によく分かります。
どんなに
「4%ルールに則れば、計算上95%は投資資産を30年以上維持できる」
と言われていても、
「5%に自分が入るかもしれない」
「もっと切り崩す割合を下げられるまで働き続けた方が良いのでは?」
という気持ちが出てきます。
著者は既にFIREを達成している人や、FIREを目指している人達によるコミュニティに参加し、FIREを目指す上で持ち続けるべき基本理念を改めて学んだようです。
これまで紹介させて頂いた書籍にも同様の内容が書いてありましたが、
「自分が価値を置くもの以外にはお金を使わない」
「人と自分を比べず、社会で主流となっている生き方・考え方に疑問を持つ」
これだけは信念として貫いていくと決めて、あとはひたすら資産形成に邁進したようです。
残念ながら、僕の周りにはFIREを本格的に目指している人はいません。
著者と同様に、寂しいというか孤独の闘いのような気持ちになることもあります。
大きな支出が重なり、先月と今月は資産がかなり減ってしまいましたが、
「こんなに支出があって、本当にサイドFIREできるのか」
と不安になる事も多々あります。
いつかは本書のように、FIREコミュニティを探してみるのも悪くないかなと思っています。
すぐに思いつくのは両学長のリベシティでしょうか?
その他にも、どこか良さそうなコミュニティがあるか探してみます。
(4)感想:この書籍のようなブログにしたい!
本書を読んで、まず思ったのは
「こういう内容のブログにしたい!」
「一番読みたかった本に出逢えた!」
ということです。
投資の話は殆ど記載されていないため、投資の本格的な勉強にはならないと思います。
ただ、元々浪費家だった夫婦がどうやってFIRE達成に向けて努力したのかというプロセスが描かれており、FIREに興味がある人には非常に参考になる書籍だと思います。
僕は投資のプロでもなく、ミニマリストでもありません。
好きなことにはお金は使って、その他は少しだけ切り詰めて、S&P500というありきたりな投資信託を積み立てています。
最短ルートのFIREを目指している訳ではありません。
むしろ、
「医師がFIREを達成するまでには、こんな障壁を越えていく必要があった!」
という体験談的なブログ内容にしたいと思っています。
本書の内容は、まだまだFIREまでの道半ばの僕ですら同感する部分がとても多かったです。
初めてFIREについて妻に話した時は全く共感してもらえませんでした。
本気でFIREに憧れている同僚も友人もいません。
節約といっても仕事柄、車は必要ですし、いつかは家も建てたいと思っています。
「割とラフな感じでどこまでFIREに近づけるか」
という、自分が昔知りたかった体験談を今後も記録していこうと思いますので、長い目で見て頂けたらと思います。