医者が2030年にサイドFIREするブログ(2022年度から日曜更新)

2022年度の目標:資産全体 2,130万円、現金 1,040万円、株式 1,090万円

【第52回】「普通の会社員でもできる日本版FIRE超入門」を読んで

こんにちは、Dr. KKです。

今回はFIRE関連の書籍をご紹介させて頂きます。

(1)基本情報

本書はフィナンシャルプランナーでフィナンシャル・ウィズダムという会社の代表でもある山崎俊輔さんの書籍です。

 

確定拠出年金を中心とした企業年金制度と投資教育が専門だそうです。

1995年に中央大学法学部法律学科を卒業後、企業年金研究所、FP総研を経て独立したようです。

 

『読んだら必ず「もっと早く教えてくれよ」と叫ぶお金の増やし方』(日経BP)

『共働き夫婦 お金の教科書』(プレジデント社)

『マネーハック大全』(フォレスト出版)

など多数の著書があり、マネー現代やプレジデントオンラインなどでも連載されている方です。

 

調べてみると、「共働き」や「育児」という検索ワードと一緒にヒットする事が多いようで、育児と資産形成の両立を行うというなかなか困難な状況に挑んでいる方で、個人的にシンパシーの感じる方だと思っています。

 

(2)要旨

本書はアメリカ発祥であるFIREについて、日本人が持つべき考え方の指針を日本の制度に基づいて示しています

 

年金制度、社会保障制度、税制優遇制度、退職金制度や高齢者雇用制度など、日本で保障されている制度を上手く利用することを推奨しています。

 

また、FIRE後の生活として「老後」についても記されているのが特徴的です。

一般的なFIRE本は、著者のFIRE達成までの経緯が記されているのみですが、本書ではFIRE達成以降のお金に関する問題をまとめてくれています。

また、FIRE自体に関しても年齢別や達成可能な方法についても記載されており、一貫して現実的な内容が列挙されています。

 

資産運用については、従来通りインデックスファンドで長期積立、利回り4%で運用というオーソドックスな内容が記されています。

資産運用の方法を細かくチェックするよりも、むしろ仕事や私生活の充実を優先する方が幸せとのことです。

 

(3)日本でFIREを達成するためには、より現実を見ておくべき!

まずは目次を見てみましょう。

本書は目次を見ればかなり内容が把握できるため、小さいチャプターも全て記載しておきます。

第1章 FIREのキホン

1. 日本版FIREは米国版と何が違う?

2. FIREムーブメントとは何か

3. FIREを目指す基本的なお金の流れを知ろう

4. 日本版FIRE実現は何歳で可能か

5. 経済的な安定は、精神的な自由につながる

 

第2章 もっと、もっと、もっと、稼ぐ

1. なぜ「年収アップ」がFIREに欠かせないのか

2. 年収を上げる王道 3つのアプローチ

3. 今の会社でもっと稼ぐ方法 昇格レースの最短ルートを登頂せよ

4. 働きがいは搾取される ドライに判断、より多い年収を取れ

5. 転職して稼ぐ〜年収を早めに2倍にするには飛び出すしかない

6. 副業で年100万円以上稼ぐ ただし道は厳しい

7. 共働きは正社員が基本

8. 夫婦合計で1000万円超は、早期実現も可能

 

第3章 1円でも貯蓄額を増やすために節約する

1. FIRE実現には節約が欠かせない理由

2. まずは固定費から。家計の10%を削ってみる

3. 毎日の生活費も削る 家計の25%を目指す

4. 家計簿アプリの活用で家計を簡単に「見える化

5. 家計の50%以上の節約は可能か? ミニマルライフへの挑戦

6. 確実に貯蓄をするための口座管理方法

7. 節約スキルは一生の財産 FIRE成功後も節約は続く

 

第4章 貯めたお金をできるだけたくさん増やす

1. 年何%稼ぐとFIREに早くたどりつけるか考える

2. 安全・確実を取ると基本的には増えない

3. 「安全・確実・高利回り」のセットには絶対手を出すな

4. 普通の人はインデックスの長期積立投資で十分

5. iDeCoとNISAの満額利用から始めよう

6. 長期積立投資のメンテナンス術

7. 個別株投資で期待リターンを高められるか

8. FXや不動産投資は儲かるのか

 

第5章 FIREのために絶対必要な知識

1. FIREを実現するために必要な「その他の知識」

2. FIREするなら「家」の確保はどう考えるべきか

3. 民間保険はどこまで削ってもいいのか

4. 子どもを育てるとFIREが遠ざかるか

5. 家族との意識共有は必要か? 独り相撲で目指してもいいか

6. 普通の人のリタイアはどうやって行われているのか知っておく

7. FIREのために知っておきたい 国の年金の最低限度の知識

8. 早期FIREのリスクがひとつ。実は国の年金額が大幅ダウン?

9. FIREが及ぼす退職金、企業年金の目減りとその影響

10. 70歳現役社会、あるいはそれ以上の変化はFIRE計画にどう織り込むべきか

 

第6章 FIREを実行する3つのパターン

1. FIREの計画の立て方

2. ルートA)プチFIREを目指す

3. ルートB)50歳代でのFIREを目指す

4. ルートC)夢の40歳代FIREに挑む

5. スタートが30歳代以降でもFIREは可能か

 

第7章 FIREに成功したあとのメンテナンス術

1. FIRE実行前後の手続きともらえるお金

2. FIRE後は定期的な資産状況チェックが欠かせない

3. FIRE後、資産運用にどの程度手をかけるべきか

4. 実は難問? FIRE実行後の「生きがい」探し

5. あえてFIRE後に「また働く」選択肢もある

6. もしも…FIREできなかったとしたら

7. 本来のリタイア生活が始まる前後、どうするか

 

① 従来通りの内容も多い

第1章では、FIREを目指す上で考えていくべきお金の流れが書かれています。

これまでの書籍では、

「節約」→「投資」→「収入」

という順番で考えていくべきとするものが多かったですが、本書では

「収入」→「節約」→「投資」

としています。

 

「FIREには年収アップが必須」

というスタイルが第2章の要旨であり、本業で働きながら副業で年収アップを目指すのはあまり現実的ではないと考えているようです。

そのため、転職が必須との考えのようです。

 

医者の場合、この意見は仰る通りで、特に医局に在籍している間は色々な人間関係のしがらみや大学病院での薄給生活が永続するので、FIRE達成までの期間を短縮するためには、タイミングを見計らって好条件の転職を目指すのは必須だと思います。

 

第3章では固定費の削減、第4章ではインデックス投資、第5章では保険の見直しを唱えています。

この辺はその他のFIRE関連本と差異はありませんでした。

 

本書の醍醐味は第6章以降だと思います。

 

② プチFIRE

第6章ではFIREの現実的な達成パターンをご紹介しています。

 

1つ目はプチFIREで、最も実現可能かつメリットが大きいとされています。

65歳定年を想定した場合、5年程度の早期リタイアを指しているようです。

 

わずか5年の早期リタイアであれば、巨額の資産運用をしなくて済みます。

iDeCoとNISAのみで十分実現可能と筆者は述べています。

 

つまり、達成までに必要な資産=年間支出×早期退職年数

となり、4%ルールなどは全く考える必要がありません。

 

確かに投資の素人である我々は、どうしても4%ルールを完全には信用しきれない部分があるかと思います。

プチFIREであれば、単純に早期退職分を貯蓄してしまえば良いので、慎重派の先生であればこのパターンが最も現実的かと思います。

 

③ 50代でのFIRE

定年よりも10〜15年程度の早期リタイアとなると、流石に資産運用が必要になります。

よって、早期キャリアアップと節約が重要だそうです。

 

また、FIRE達成時に負債(借金)を完済しておく事が最低限の条件となるようで、住宅ローンや子供の教育費なども考慮して初めて50代でのFIREが現実的となるようです。

 

④ 40代でのFIRE

やはり40代でのFIRE達成となると、かなり厳しいハードルが待ち受けているようです。

理由は単純で、若年でのFIRE達成の場合、資産形成期間も短くなるからです。

そうなると、やはり収入も重要ではありますが、支出削減が最重要案件になると思います。

 

つまり、著者も40代でのFIREはあまり現実的ではないと考えているようで、現実的に考えるのであれば、やはり収入アップでプチFIREを目指すことになるようです。

 

(4)感想

個人的には第7章がとても参考になりました。

 

よくよく考えてみれば、日本の社会制度を考慮すると、計算上の目標額を完全に達成する前にFIREしてしまっても正直どうにかなることは明らかでした。

 

とは言え、個人的には年金制度は僕が受給する前に破綻して全く受給できない可能性もありうると考えています。

その前に欧米諸国でベーシックインカムが主流となっていれば、変更となる可能性も十分あると思います。

 

もう一つ、FIRE後の生活をもっと具体的に考えておく事が必要だとも気づかされました。

自由になった後の時間を持て余す事なく、また具体的なプランこそFIREに向けたモチベーションとなるため、もっと色々計画しておこうと思います!