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【第60回】摂食障害のおすすめ参考書6選

こんにちは、Dr. KKです。

前々回まで神経性やせ症の記事を書いていました。

dr-fire.hatenablog.jp

dr-fire.hatenablog.jp

 

そこで今回は、摂食障害におけるおすすめの参考書を挙げていこうと思います。

 

(1)拒食症身体治療マニュアル

オススメ度:★★★★☆

本の薄さ:★★★★★

分かりやすさ:★★★★★

使いやすさ:★★★☆☆

内容の濃さ:★☆☆☆☆

 

摂食障害って結局どういう治療方針が良いのか、手っ取り早く知りたい

という方に非常にオススメです。

 

摂食障害は身体管理が最優先事項ですが、

どの期間に何をどの程度の量投与していくのか

という部分が非常に具体的に書かれていますので、書いてある通りで治療を進めていっても大丈夫かと思います。

 

ただ、精神病理については書かれていないため、何らかの論文や発表への汎用性は殆どないと思います。

また、内容はかなり薄いため、これだけでは物足りないと思います。

 

とは言え、かなりお求めやすい値段なので、買っておいて損はないかと!

 

(2)摂食障害入院治療

オススメ度:★★★★☆

本の薄さ:★★★☆☆

分かりやすさ:★★★★★

使いやすさ:★★★☆☆

内容の濃さ:★★★★☆

 

実際こういう重症例に対しては、どういう治療が良いのか?

という疑問に思いやすい症例に沿って治療方針が書かれています。

 

拒食症身体治療マニュアルよりも治療経過の部分が詳細に書かれており、読み応えは抜群だと思います。

ただ、あくまで超重症な23個の症例に沿った内容なので、全てが自身の臨床に反映されるかは謎ですが、概ね利用できそうな内容です。

 

(3)摂食障害治療ガイドライン

オススメ度:★★★★☆

本の薄さ:★★★☆☆

分かりやすさ:★★★★☆

使いやすさ:★★★☆☆

内容の濃さ:★★★★★

 

本書はガイドラインなので、当然内容は濃く、隅々まで重要な内容です。

疫学やデータに基づいたプロトコールが各所にあり、EBMに忠実な王道書籍です。

搬送時の重症度評価、入院中の治療、地域医療との関わり、通院に至るまでを均等に記載されており、満遍なく知識が得られます。

 

一方で実践向きの書籍ではないので、最初の一冊には向いてないと思います。

軽くデータを調べたり、症例レポートに引用する際にはピッタリなので、持っていて損はありません。

 

(4)家族で支える摂食障害:原因探しよりも回復の工夫を

オススメ度:★★★☆☆

本の薄さ:★★★★☆

分かりやすさ:★★★☆☆

使いやすさ:★★★☆☆

内容の濃さ:★★★☆☆

 

本書は医学書というよりも、摂食障害患者の家族でも読めるように書かれているため、非常に読みやすい書籍だと思います。

 

もちろん、医学的な知識が沢山身に付くわけではないのですが、

家族側の立場ではどういう心の持ちようが大事なのか?

という部分を学ぶのにはちょうどいいかと思います。

 

摂食障害は家族でタッグを組んで治療に取り組む必要があります。

かなり古い書籍なので中古販売も多いです。

 

(5)摂食障害:食べない、食べられない、食べたら止まらない

楽天市場では販売していません。

オススメ度:★★★☆☆

本の薄さ:★★★☆☆

分かりやすさ:★★★☆☆

使いやすさ:★★★★☆

内容の濃さ:★★★☆☆

 

本書はガイドラインと同様に摂食障害の概念や歴史、診断や治療、予後などを満遍なく記載してくれています。

 

ガイドラインよりも読みやすいのですが、20年くらい前の本なので、たいてい中古でしか手に入らない書籍なのが難点です。

僕は指導医に借りて読みました。

 

(6)摂食障害の身体治療:チーム医療の実践を目指して

 

オススメ度:★★★★★

本の薄さ:★★☆☆☆

分かりやすさ:★★★☆☆

使いやすさ:★★★★☆

内容の濃さ:★★★★★

 

本書はアメリカでの摂食障害の身体治療を翻訳したものです。

医学的見地を主とした記載になっており、身体治療についてはガイドライン以上に内容の濃い書籍で、個人的にはガイドラインよりも好きで、本書で調べることが多いです。

 

かなり詳細なので、(1)拒食症身体治療マニュアルの次に本書で肉付けしていくのがオススメかと思います。

ただ、この書籍には身体治療のみ書かれているので、精神療法や薬物療法以降の内容は別で学ぶ必要があります。

 

(7)まとめ:身体治療が第一優先、その後はゆっくりやれば良い

以上が、摂食障害を学習する上でおすすめの書籍6選でした。

 

当然ではありますが、身体治療を中心とした書籍が多かったです。

もちろん家族の向き合い方なども予後的には重要になってきますが、緊急性のあるものはやはり身体治療かと。

 

その後の治療については、医局の席でコーヒーでも飲みながら本を読んで勉強すれば間に合います(笑)

精神科はゆっくりじっくり考えても良い時間がある診療科なのが、個人的に気に入っている所です。