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【第32回】DPATについて

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災害大国の日本にはDMATだけじゃなく、DPATも必須!

こんにちは、Dr. KKです。

今回はDPATについて色々調べてみたので、ご紹介させて頂きます。

 

以前、自殺についての記事を書きましたが、被災地にはメンタルケアが必要な被災者が少なくありません

dr-fire.hatenablog.jp

このタイミングで、今一度被災者の方々のメンタルケアについて考えてみようと思います。

 

(1)DPATとは?

www.dpat.jp

まずは概要から説明します。

DPATはDisaster Psychiatric Assistance Teamの略(災害派遣精神医療チームです。

 

自然災害や集団災害(犯罪事件や航空機・列車事故など)が発生した際に被災地に入り、精神科医療および精神保健活動の支援を行う専門的なチームです。

 

被災した精神科病院の患者への対応や、被災者のうつ病心的外傷後ストレス障害(Post-traumatic Stress Disorder:PTSD)といった精神疾患発症の予防などが主な業務になります。

 

活動期間は1週間を基準としています。

 

(2)発足の歴史

2011年3月11日に発災した東日本大震災の際に、多くの被災者に抑うつ症状を認めたため、自治体や医療機関が「こころのケアチーム」を発足しメンタルケア活動を行ったそうです。

 

震災後、国(厚生労働省)も被災地でのメンタルケアの必要性を認識し、災害派遣医療チーム(Disaster Medical Assistance Team:DMAT)の名称や活動要領を参考に、全国的に統一したDPATの名称や定義を定めました。

 

DPATは、被災都道府県等からの派遣要請に基づいて活動します。

その際は、被災都道府県等の災害対策本部の指示に従うことになっています。

 

派遣チームの中でも、発災から48時間以内に、被災地域で活動するチームを先遣隊と言います。

自然災害の場合は2次災害の危険性もあり、先遣隊の方々はハイリスクの中で活動されており、本当に頭が下がります。

 

(3)構成メンバー

DPATは以下の職種を含めた数名で構成することになっています。

精神科医

・看護師

・業務調整員

 

なお、先遣隊を構成する医師は精神保健指定医でなければなりません

先遣隊以外の班を構成する医師も、できるだけ精神保健指定医であることが望ましいとされています。

 

また、被災地のニーズに合わせて、児童精神科医や薬剤師、保健師精神保健福祉士や臨床心理技術者等を含めて適宜構成していきます。

 

(4)活動内容

活動内容は以下の順序で定められています。

① 本部活動

② 情報収集とニーズアセスメント

③ 情報発信

④ 被災地での精神科医療の提供

⑤ 被災地での精神保健活動への専門的支援

⑥ 被災した医療機関への専門的支援(患者避難への支援を含む)

⑦ 支援者(地域の医療従事者、救急隊員、自治体職員等)への専門的支援

⑧ 精神保健医療に関する普及啓発

⑨ 活動記録

⑩ 活動情報の引き継ぎ

⑪ 活動の終結

やはり被災地での活動で最も重要なのは、情報統制だそうです。

 

1995年1月17日に発災した阪神淡路大震災をきっかけに発足したDMATは、広域災害救急医療情報システム(Emergency Medical Information System:EMIS イーミス)を整備しました。

 

これを参考にして、DPAT災害精神保健医療情報支援システム(Disaster Mental Health Information Support System :DMHISS ディーミス)を整備しました。

 

(5)活動実績

これまで、3度の派遣実績があります。

① 2014年8月 広島土砂災害
② 2014年9月 御嶽山噴火
③ 2016年4月 熊本地震

 

特に、熊本地震の際は初めて被災都道府県以外からもDPATチームを受け入れた様です。

 

上記の自然災害の被害状況を調べてみましたが、いずれも悲惨な現場で、多くの被災者がPTSD様症状を呈したようです。

PTSDに対する初期対応や診断、治療についてはまた別の記事でご紹介しようと思います。

 

 

いかがでしょうか?

病院ごとにチームを作成している所が多く、今後勤務する病院によってはDPATに参加する可能性もありそうです。

そういう状況になった場合は、自分の身の安全を前提として、被災者の方々と向き合おうと思います。